こうして「必要とされない人」が増えていく【マッキンゼーの描く未来】
クーリエ・ジャポン1月号にこんな記事がありました。
グローバル化とIT化は、労働市場のあり方を抜本的に変えてしまった。
景気が回復しても先進国で失われた職はもう戻らないかもしれない。
雇用のミスマッチはどのようにすれば解決できるのか?
これからの社会ではどのような雇用がうまれ、誰がどこでその仕事に就き、どのくらいの報酬を得られるのか?マッキンゼー・グローバル研究所の最新レポート「求む従業員:先進国経済の仕事の未来」に5つのトピックがあったので備忘録にしたいと思います。
1.テクノロジーが仕事の質を変える
この30年間の間に、ほとんどの作業が、ロボットに取って変わられる。 (手順が決まっているものは、機械化されたがる。)
重要とされるのは「相互的な対応を求められる仕事」となる。
(ロボットがしばらくの間出来ない仕事ともいえる。)
例)複雑な問題解決、経験、状況に関わるやりとり。弁護士、看護師など。
2.スキルのミスマッチが拡大
高度な教育を受けた能力の高い人と、あまり教育を受けていない人では、将来の格差は広がる一方。能力の低い求職者が増え続け、能力の高い人のを求める企業の求人枠は埋まらない。
先進国経済では、慢性的な失業者が増え続ける。
3.地理的ミスマッチの問題
求められる人材が企業が雇いたい地域では供給不足の場合が多い。地域によって失業率が凸凹している。そして、仕事を求めるために別の土地へ行こうとする人が少ない事も問題。
バーチャルな労働環境を整備して、居住地を問わずに雇用を生み出す企業が増える。
4.活用しきれない人材の増加
とくに若者と女性、定年間近の年齢層の就労率が落ち込んでいる。職に就けない若者は、将来に渡り不利益を被る。キャリア形成の機会が減り、収入は生活水準に追いつく事はなく、いずれ公的援助の厄介になる可能性が高い。
また、高齢化社会にとって、人材不足の可能性は深刻。年配の労働者を退職させて年金で養うばかりではなく、彼らの就労率を引き上げる事ができれば、成長と生産性向上の牽引役となる。
熟練労働者として、年配の労働者の就労率は引き上げられる。
5.収入の格差は拡大する
グローバル化とテクノロジーは高度なスキルを持つ労働者の需要を大幅に増やし、彼らの賃金を上げる一方で、スキルの低い労働者の需要を減らしている。また、単身世帯の増加が世帯所得の伸びを抑えている。一方で、高所得者同士が結婚する傾向が増え、所得格差に拍車をかけている。
所得格差は止まらない。国家レベルで職業訓練に力を入れなければ、国家の競争力にも影響してくる。
という事で、とても身が引き締まる思いです。
これからの時代は、最高の訓練を受けた意欲の高い労働者を確保できる企業が勝ち組となり、そのような企業が活躍する国の経済が成長するだろう。-Foreign Policy-
変化の厳しい現代社会においては、日々新しい事を学び、スキルを身につけなければ、労働市場での価値は低下してしまう。-The New York Times-
なんていうか、「自由に働きたい」とか「自分らしく働きたい」とか「ストレスフリーでいたい」とか、言う人が多くなっていると思うけど、その前提には並々ならぬ努力があっての事だと思うわけです。
「金持ちと結婚したい」と言っている「何も取り柄の無い女」みたいな感じでしょうか。まあ勝手にやってろって事なんですけど。
そういう意味では、フェアな世界になってきているって事でしょうか。頑張ろう。